ほっり愛らしい、うぐいす餅。名付け親は、豊臣秀吉だった?
あんを求肥で包み、青大豆から作られる青きな粉をまぶしたうぐいす餅。春告鳥とも呼ばれるうぐいすの名にふさわしく、春が恋しい1月からお店に並び始め、4月頃まで楽しめます。そしてその名付け親として伝えられているのは、なんと豊臣秀吉!かつて秀吉がお茶会の席で出された創作菓子(あんを餅で包み、きな粉をまぶしたもの)を気に入り、その見た目からうぐいすを連想したのだとか。茶の湯に傾倒した秀吉ならではの風流なネーミングが、現代まで残っているのがすごいですね。
いま、桜餅が食べられるのはお寺の門番の人のおかげです。
桜を想わせるピンク色、そして葉っぱの香りと塩味が絶妙な桜餅。うぐいす餅とだいたい同時期に登場してきます。同じ桜餅でも道明寺(つぶつぶの道明寺粉タイプ)、長命寺(薄皮タイプ)の2種類ありますが、起源は長命寺が先という説が有力。江戸時代、隅田川沿いにある長命寺で、門番の人が大量の桜の落ち葉の処理に困った末、葉を塩漬けにして餅菓子を考案し人気が出たのだそう。グッドアイデアですね!もちろん現在は道明寺タイプも人気だし、好みや気分で選べるのがホント幸せ♡
端午の節句にいただく、柏餅。葉っぱは食べません、念のため。
桜餅と入れ替わるように4月から5月にかけて食べられる、柏餅。お店にもよりますが、小豆あん、白あん、味噌あんなど、あんもいろいろ楽しめます。そして何といっても柏の葉の爽やかな香り!葉を外しても、お餅にふわりと残る香りごと味わえるのが、柏餅の醍醐味ではないでしょうか。ちなみに葉の話題でいえば、桜餅の葉は食べる派と食べない派があるようですが、柏餅の葉は食べられませんのでお気をつけて(硬いだけです…)。特に、初めて食べるお子様には教えてあげてくださいね。
四季で名前が4つある、おはぎ。よーく読んで、洒落っ気を感じて♪
いまや一年じゅう人気のおはぎ。ただ、呼び名は秋彼岸が「おはぎ」で、春彼岸は「ぼたもち」と分けられています。そして実は、夏は「夜船」、冬は「北窓」という呼び名もあるんですよ。その由来は製法にアリ。つまり、おこわ部分はすりこぎなどでつぶして作り、いわゆる餅つきはしない、だから「つき知らず」。それを「夜船」=夜に船が着いても暗くてわからない=「着き知らず」、「北窓」=北の窓からは月は見えない=「月知らず」と掛けてあるんですね。
昔の人の遊び心に脱帽です!
季節ごとに和菓子は変わる。和菓子屋さんに通ってみよう!
今回は春先の身近な和菓子を紹介しましたが、本来、和菓子自体が季節感をとても大切にしています。和菓子屋さんのショーケースの中で上品にたたずむ上生菓子は、その最たるもの。とてもていねいに下ごしらえされた旬の食材、繊細な職人技による花鳥風月の風雅なモチーフの造形、そして目を優しくいやしてくれる美しい彩り。小さなひと品の中に、凝縮された美意識が表現されています。今年はぜひ、季節ごとに和菓子屋さんを訪れて、世界に誇る和菓子文化を美味しく堪能してみませんか?